デザインによる差別化

デザインによる差別化

強豪との差別化ができていないと、消費者から見て横並び状態になってしまい、選んでもらうのが難しくなります。
差別化といっても機能的価値での差別化と情緒的価値な価値での差別化がありますが、成熟産業になると、どうしても機能的価値での差別化が難しいのが現状でしょう。

りそな銀行がサービス拡大で差別化を図ろうとしています。

りそなが時間外サービスを拡大、24時間決済や無休店舗、銀行界に波紋

これは機能的価値での差別化ですね。
銀行はサービスが横並びで、どこもそこから出ようとしない稀有な業界ですから、成熟産業であっても差別化を図りやすいのでしょう。
むしろ、サービス拡大の余地があるということで、成熟していない産業なのかもしれません。
その差別化が結果として売上に結びつかなければ意味がありませんが、

  • ユーザーが機能やスペックの向上を望んでおらず、それらの向上が訴求に結びつかない。
  • 機能を高めてもそれ自体で差別化が難しい。
  • 技術がコモディティ化していて、すぐに他社に追いつかれる

他にもあるでしょうが、これらの場合は情緒的価値での差別化を図るケースになるでしょう。

情緒的価値での差別化も色々パターンがありますが、商品そのものをデザインなどで差別化する方法があります。
BtoBの商品よりも、BtoCの商品の方が取り入れやすいのでしょうか、以下にデザインを活用している中小企業をご紹介しますが、全てBtoC(あるいは最終消費者が個人)の商品です。

以下の本からのご紹介です。
その他、様々な事例が紹介されていますので、ご興味を持たれた方はご覧ください。

商品のデザインによる高付加価値化は中小企業基盤整備機構もかねてより提言していていますが、こういった視点の支援を受けようと考えている企業はまだまだ少ないと個人的に感じています。
差別化の難しいBtoC商品を製造している企業は積極的に取り入れても良いのではないでしょうか。

参考:中小企業基盤整備機構サイト内「デザイン活用支援・ガイドブック」
※デザイン活用と言ってますが、資料のpdfのデザインはいかにも素人が作りましたという感じでイケてません。

釣り餌

釣り餌

私はイチゴクリームが大好物だが、魚はどういうわけかミミズが大好物だ。
だから魚釣りをする場合、自分のことは考えず、魚の好物のことを考える。

デール・カーネギー

魚釣りをしない方でも、魚を釣るにあたって自分の好きなものではなく、釣りたい魚の好きなものを餌にするということはご存知ですね。

ですが、会社案内やWebサイト、パンフレットなど、企業で使用する制作物の良し悪しを、ターゲットのことを考えずに自分の好き嫌いで判断しがちです。
視覚から入ってくるもの以外の情報がなかったり、視界から入ってくるもの以外の情報を活用する意識がないなら、そうなってしまっても仕方がありません。

解決策

会社案内やWebサイト、パンフレットなど、企業で使用する制作物依頼時に、経営理念や事業ドメイン(誰に、何を、どのように)などを説明すると思います。
デザインを提出してもらう際に、デザインを見せてもらうよりも先にそれらをどう汲み取って形にしたのか、デザインのコンセプトをテキストや口頭で説明してもらうようにしましょう。
もちろん、その説明が見当違いでしたらどんなデザインを提出されたとしても、それは無意味なものになります。

その上で、デザインを確認しながらコンセプトにどう沿っているのかを説明してもらえば、判断材料をもった状態でデザインの確認ができるはずです。

双方にメリットがあります

また、それは制作側にも非常にメリットがあります。
自分の好みでデザインの良し悪しを判断されてしまうと、依頼している本人にさえよく分かっていない「好み」というものに合致するよう、手探りで何度も何度も作り直しながら制作することになります。
それによって時間も非常にかかるうえに、当然ながら制作側のモチベーションだって下がります。

ですが、デザインをロジックで判断してもらえるなら、制作サイドはロジックに沿って制作することができるので、仕事が非常にしやすくなります。
依頼者の好みを探りながら作るよりも制作期間も短くなる上、基準が明確なので制作物のクオリティも高まります。
また、さらに良い提案や別のアプローチの提案などもしてもらいやすくなるということもありえます。

結論

実際問題として「経験や知識が無い方でもここだけ見ればOK」と言えるような、都合の良いポイントなどありません。
判断するには当然ながら経験や知識が必要です。
ですが、必要なものはイチゴクリームじゃなくてミミズだということを意識するだけでも大きく変わります。
その点を意識して判断されてはいかがでしょうか。

企業にとっての著作権

FacebookやTwitterなどのSNSのプロフィール写真をネットで拾った写真やイラストにしている方もおられますが、これらは著作権を侵害しています。
著作権侵害は親告罪ですので著作権者が訴える必要があるのですが、個人のSNSのアイコンをいちいち訴えるのも面倒でキリがないので黙認・放置しているのが現状でしょう。
ですが、企業や事業主の場合は個人よりも訴えられる可能性が高いことが考えられ、またイメージダウンにもつながります。
ですから、著作権の侵害行為にたいして敏感になるべきです。

企業にとっての著作権

企業が自社のWebサイトで著作権に触れる可能性があるとすると、写真やイラストなどの素材が挙げられるでしょう。
割と安易に著作物である写真画像を使用や、トレースをしろとおっしゃる企業様もおられます。
無断利用ももちろんですが、写真やイラストのトレースも複製権の侵害に当たる可能性がありますので、やってはいけません。

(複製権)
第21条 著作者は、その著作物を複製する権利を専有する。

著作者が権利を占有するということは、著作者以外はその権利がないということです。
もちろん例外はありますが、基本的に商用利用の場合は認められていません。
詳しくは著作権法第30条から47条をご確認ください。

デザイン制作に関しては、許認可や資格などは不要です。
そのため、法律に関する知識がなかったり、順法意識が低い企業もあります。
制作側に起因していても、まず被害を被るのは依頼者側ですので、こちらの方が性質が悪いと言えます。
全ての素材が著作権に触れていないかを確認することはできませんので、著作権に触れていた素材を使用した場合のことを契約で取り決めておいた方が安全です。

グランフロントのエレベーターの案内表記

デザインというものはまずロジックがあり、そのロジックに基づいて作成されます。
以前、デザインとは意匠という意味だけではないと書きましたが、「デザイン」という単語を「意匠」という意味として使用していても、「設計」という意味として使用していても同様です。

さて、行ったことのない方には申し訳ありませんが、以下はグランフロント大阪の北館のエレベーターの内側から見たドアの写真です。
グランフロント大阪の北館から南館を経由して大阪駅まで2階で繋がっているので、南館や大阪駅に行く人は2Fで降りるように扉に書いてくれています。

グランフロントの案内表記

黒い帯を右(階数のボタンがある方)にたどっていくと、以下のようになります。

非常ボタン

視線でたどった先が非常ボタンになっています。

横書きの文章は(アラビア語などの例外を除いて)、左から右に読みます。
そのさらに右側に階数のボタンがあって、そのボタンのあるところまで黒い帯を引いているのは、ボタンまで視線を誘導する意図だと思います。
だとすると、視線の先は2Fのボタンでないと、視線を誘導した意味がありません。
もし視線を誘導する気がないのであれば、帯を右まで引かず、帯とボタンとを完全に独立したものにする、あるいはそもそも帯を使わない方法でメッセージを目立たせるようにする必要があります。

帯を使用することを前提とした解決策としては、①帯の高さを2Fのボタンの高さにする、あるいは②帯を途中で切って他の方法で2Fであることが分かるようにする方法などが考えられます。

改善案

①の方法の方がスマートではありますが、表記が低い位置にあると、何人かの人がエレベーターに乗った場合に前の人で帯(2Fで降りるようにというメッセージ)が見えづらくなります。
②の方は帯とボタンの位置関係によっては、見た目が歪になる可能性があります(例の図がすでに、結構無理しています)。

他の方法としては、南館や大阪駅に行く人は2Fで降りることを伝えることができれば良いわけですから、扉側でなくボタンの側に注意書きとして書くということも考えられます。
エレベーターに乗った後の方がメッセージの伝達の確実性は高まりますが、エレベーターの中ではなく、外側の扉、あるいはその周辺に表示する方法もあります。

グランフロントができたときはこの表記はありませんでした。
おそらく利用者の利便性を考えて2Fで降りるように表記してくれているのでしょうから、悪い例として挙げるのは申し訳ないのですが、もうちょっと考えてくれていたらより利便性は高まったのではないかと思います。

こういった案内表記は、商業施設や駅などのいたるところにありますので、見かけたら、紛らわしくないか、もっと分かりやすくできないか、自分ならこうする、など考えてみてはいかがでしょうか。
よく考えられていることに感心したり、適当にやっていて逆に感心したりします。

扉に私の姿が写りこんでいますが、誰も乗ってくるな、誰も乗ってくるな、ドアが開いたら恥ずかしいと思いながら携帯で写真を撮っていたのはワールドワイドウェブだけの秘密です。

好みのデザイン

企業様や事業主様がWebサイトや名刺、パンフレットなどを外注されているケースがほとんどだと思います。
要件を伝えるにあたって、見た目の好みの話になっていませんか?好きな色の話になっていませんか?
制作会社がデザインのサンプルを提出をした際、見た目の好き嫌いで良し悪しの判断をつけていませんか?

デザインとは

「デザイン」という単語を聞いて、どのようなことを連想されるでしょうか?
おしゃれ、かっこいい、かわいい…といった、見た目を良くするというイメージをされるのが多いでしょうか。

デザインという単語を辞書で引いてみると

デザイン【design】
[名](スル)
1 建築・工業製品・服飾・商業美術などの分野で、実用面などを考慮して造形作品を意匠すること。「都市を―する」「制服を―する」「インテリア―」
2 図案や模様を考案すること。また、そのもの。「家具に―を施す」「商標を―する」
3 目的をもって具体的に立案・設計すること。「快適な生活を―する」

デジタル大辞泉より引用

となっています。

このうちの3のみが目的をもってと明記していますが、1も何かしらの目的があるからその実用面が考慮され、意匠がなされるわけですし、2にしても図案や模様の対象となるものが何かしらの目的や意図をもって作られたものですので、それを無視した図案や模様は考えにくいと言えます。
つまり、広義な意味でデザインとは目的をもってなされているものであると言えます。

実際のところは?

Webサイトの例で、かつ少し古い記事ですが、以下引用です。

デザイン決定のポイントは、「発注側の経営者・上司・担当者の好み」が54%。「サイト制作のゴールを達成できそうだから」(20.7%)の倍以上の割合で「好み」を優先。

Web担当者Forumより引用

パンフレット、フライヤーなど、他の制作物のデザイン決定においても、単に好みで決めている割合はさほど変わらないと思いますし、またこの傾向は現在もさほど変わらないと思われます。

そもそも見るのは誰ですか?

Webサイトを実際に見るのは誰ですか?
「発注側の経営者・上司・担当者」ではなく「ターゲットとなるユーザー」ですね。

見込み客のターゲットユーザーがWebサイトを見て「経営者・担当者の好みを反映したデザインだから、ここに発注しよう」なんて考えないのは言わずもがなです。
「発注側の経営者・上司・担当者」の好みの反映がターゲットユーザーの意思決定にプラスの作用を及ぼすってことはありませんよね。
つまり、色・形が「発注側の経営者・上司・担当者」の好みか否かの時点でWebサイトの目的を見失っている言えます。

これに関しては発注側だけの問題ではなく、制作側も適切な判断ができるように促すことができていないというのも問題です。

最終的に判断するのは?

とはいえ、最終的な判断をするのは発注側ですから、発注側がゴールを達成できるかどうかの判断を行う必要があります。

「そんなことを言っても、デザインを見たってゴールを達成しそうかどうかなんて分からない」
そう思われるのはしごく当然な話です。
ですから、制作側にはデザインの意図をしっかりと説明させてください。
なぜ、各要素をそのように配置しているのか
なぜ、各要素がこの大きさなのか
なぜ、この色なのか
なぜ、このフォントなのか
なぜ、こういうサイト構成になっているのか
それらがどのようにサイト制作のゴール達成に結びつくのか

それらを説明できないのは、ただ形を作っただけで、目的を果たすための意匠ではないということです。

発注側が適切な意思決定ができると費用を無駄にしないだけでなく、制作側も仕事がやりやすくなりますし、場合によってはもっと良い提案をしてくれるかもしれません。
そのためにも、デザインをチェックする際はゴール達成に結びつくかという視点で見るようにお勧めします。

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