ブログBlog

コモディティ化している業界の収益性

製品・サービスがコモディティ化すると、顧客は価格の安いものを選択します。
その結果、企業の収益性は低下してしまいます。
日本政策金融公庫が中小企業の経営等に関する調査として公表しているデータを基に立証してみたいと思います。

道路貨物運送業

特に人手不足が叫ばれている業界の内の一つです。
荷主の立場で見ると運送にかかる費用は単なるコストであり、決められた場所に、決められた物を、決められた時間に届けるのが当たり前で、より高い付加価値を提供することで、より高い報酬を得るということが難しい業界です。
道路貨物運送業には、以下が分類されています。

  • 一般貨物自動車運送業
    • 一般貨物自動車運送業(特別積合せ貨物運送業を除く)
  • 特定貨物自動車運送業
  • 貨物軽自動車運送業
  • 集配利用運送業

調査結果(調査対象数 1,608)

道路貨物運送業(一般貨物自動車運送業、特定貨物自動車運送業、貨物軽自動車運送業、集配利用運送業)の業界平均のデータ(一部抜粋)は以下の通りです。

売上高営業利益率 (%) 0.4
従業者1人当たり売上高 (千円) 12,601
従業者1人当たり人件費 (千円) 4,087
自己資本比率 (%) -13.3

営業利益がわずかながら出ているものの、債務超過ということは、リーマンショック後の不景気の傷から回復しきれていないといった状況でしょうか。
当面厳しい状態が続くものと思われます。

情報サービス業

一般的にITと呼ばれる業界です。
道路貨物運送業と同様、人手不足が叫ばれている業界の内の一つです。
情報サービス業には、以下が分類されています。

  • ソフトウェア業
    • 受託開発ソフトウェア業
    • パッケージソフトウェア業
  • 情報処理・提供サービス業
    • 情報処理サービス業
    • 情報提供サービス業
    • 市場調査業

この内、パッケージソフトウェア業は自社で製品を作って提供していますが、他は顧客の要望を受け、それに応える事業となっています。
技術的にコモディティ化していますし、仮に高いスキルを持っている従業員がいたとしても、大抵の案件はそのような特別高いスキルは不要です。

参入するにあたって、製造業や運送業、飲食業ほどの資本も不要で、許認可等も不要です。
受託中心であることと、新規参入が多いことも相まって、コモディティ化と価格競争に陥ってしまった業界です。

調査結果(調査対象数 1,158)

情報サービス業(ソフトウェア業、情報処理・提供サービス業)の業界平均のデータ(一部抜粋)は以下の通りです。

売上高営業利益率 (%) -9.3
従業者1人当たり売上高 (千円) 11,669
従業者1人当たり人件費 (千円) 4,651
自己資本比率 (%) -19.4

道路貨物運送業よりも従業者1人当たり売上高が低いですが、人件費は高い状況です。
それだけが原因ではないでしょうが、営業損益が出てしまっており、債務超過の状態です。
身もふたもない言い方になってしまいますが、本業で損益が出ているという、収益を上げることができないビジネスモデルというべき状態です。

ただの受託しかできない事業者は今後ますます厳しくなっていくでしょう。
オフショア開発でコストを下げるというのは一時的には効果があるでしょうが、根本の解決にはつながりません。
業種に特化して、より高い付加価値を提供するといった、差別化ができない企業の倒産は続くものと考えられます。

行政書士事務所

平成29年9月25日付けの日本経済新聞「AI時代のサムライ業(奪われる定型業務)」によると、今後10〜20年後、行政書士業務のAIによる代替可能性は93.1%となっており、士業の中で一番AIによる代替可能性が高いとされています。

AIに代替されるということは、定型の業務、処理の業務が多いということになります。
言い方を変えると、アウトプットがどうしても定型化できる範囲に収まってしまう、つまりコモディティ化された業界の一つと言えるでしょう。

調査結果(調査対象数 9)

行政書士事務所の業界平均のデータ(一部抜粋)は以下の通りです。

売上高営業利益率 (%) -12.9
従業者1人当たり売上高 (千円) 4,509
従業者1人当たり人件費 (千円) 2,110
自己資本比率 (%) -383.7

情報サービス業よりも厳しい数値となっています。
現在は(ものづくり)補助金の代書などをやっている方も多いでしょうが、今後もそういった補助金が出続ける保証もありませんし、あくまでも行政書士業務の収益性が低いという点の解決にはなっていません。
今後、大きく転換しないといけない業界と言えます。

結論

自身でオリジナルの製品・サービスを提供するのではなく、受けた仕事をこなす業態はどうしても差別化が難しくなりますので、収益性が低くなってしまいます。

解決策として、ターゲットを絞り込んでより専門性を高め、特定の対象に対してより高い付加価値を提供することで、ターゲット層から見て、競合とは違うと認識されるように努めるといったことが考えられます。