ブログBlog

士業の差別化

士業になっても食えない、資格だけではやっていけない…士業を目指す人はこういう意見を耳にしたこともあるでしょう。
資格を持っているだけで仕事が得られるのであれば、大勢の人がその資格を取得します。
その結果、供給過多になって一人当たりの収入は下がるというのは、経済学の基礎の基礎みたいな話です。

新規に参入しても、すでに市場には先行していて実績のある競合がたくさんいる訳で、顧客は実績のある方に頼むのが普通です。
税理士のように、取り立てて顧問先を変えるインセンティブがない場合は、新規参入者の顧客獲得が特に大変かもしれません。
これが資格を取っても食えないなどと言われる理由の一つにもなっているのかもしれませんが、これは大きな前提を基にしています。
それは、新規参入者も既存の参入者と同じことをするということです。
同じ仕事を取り合う結果、値段勝負になるか実績のない人には仕事の依頼がないということになります。

別にこれは士業に限った話ではありません。
価格が同じで、提供している価値に競合と比べて特徴がなければ、顧客から選ばれる理由がありません。
言い換えると顧客から選ばれる理由は、競合との差異だということになります。
もちろん、その差異に価値があることが前提なのは言うまでもありません。

では、どこで競合と差異を作るのか。
同じ資格を目指している訳ですから、勉強する内容には大きな差はないでしょう。
従って、資格を取るために勉強する中で得る知識は差別化要因になりにくいです。
資格取得後に得る知識やノウハウはキャリアの長さが経験の量に繋がり、それが差を生み出す要因になりますが、新規参入者やキャリアの浅い人は差別化が難しいことになります。

弁護士や会計士は、学生時代からそれらを目指し、新卒で事務所に入所する人が多いため、資格取得前に社会人経験のないケースもあります。
しかし、多くの士業に関しては一度社会に出てから資格を取得するケースが多いので、何らかの経験があるはずです。
つまり、資格取得前に持っていたスキルやノウハウが同じ資格を持っている他の人との差別化要因となります。

どのような事業でも、他者と同じことしかできないのであれば、顧客から選ばれないのは至極当たり前の話です。
しかし、それは士業が食えないということとイコールではありません。
他の人と同じ付加価値しか提示できないのであれば、士業である前に一人の経営者として能力がなかったのかもしれません。
だとしたら、やっぱり食べていくことはできなかったということになるのではないでしょうか。