ブログBlog

舵を切る方向

舵を切る方向

W・チャン・キム、レネ・モボルニュによるブルー・オーシャン戦略のことをご存知の方も多いでしょう。
現状の製品・サービスに要素を追加する、ある要素を拡大する、要素をなくす、ある要素を減らして競争相手のいない市場を作り出すという戦略です。
ブルー・オーシャン、レッド・オーシャンという言葉だけが独り歩きしていて、ブルー・オーシャン戦略というものが誤解されている感じもありますが、詳細は書籍を参照していただければと思います。

さて、競合が多くて競争が大変な市場と、競合が少ないことに伴って競争が少ない市場、どちらが良いかと聞かれたら後者が良いと答える方が多いのではないでしょうか。

では、自社のドメインは競合の数を鑑みて設定されているでしょうか?
単に今儲かりそうだから、これから伸びそうだからだけで決めていないでしょうか?

ハーバード・ビジネススクールのヤンミ・ムン教授は著書の中で以下のように述べています。

10年前、ボルボは実用性と安全性で知られており、アウディはスタイリッシュさで知られていた。最近では、アウディは安全性テストでボルボをしのぎ、ボルボの広告はスマートな走りを演出している。
このダイナミクスは、人気投票と似ている。誰もが爽やかで朗らかで親しみやすい人間だとアピールして勝とうとする。選挙もまた、候補者がみな、魅力的で謙虚で真面目でタフであろうとする。全員が同じ方向を目指せば、誰も抜きんでることはない。

同じ市場の中で同じ方向に向かって競争をすると、顧客から見て差がなくなってしまい、選択する基準が価格になってしまう。
その結果、収益性は下がってしまうものの、価格競争を止めることができない。
いかがでしょうか、こういった業界も多いのではないでしょうか。

仮に勝ち抜いたとしても、その市場がその後も魅力のある市場であるという保証もありません。
一部の士業も差別化ができないために価格競争になっていますが、さらにAIに仕事を奪われるという面白くない未来が待っています。
一時的な儲けを目指すことを、一概に悪いこととは言えません。
しかし、競合が少ない市場を作り出せないと、結局生き残っていけません。
どちらに向かって舵を切るのかを決めることが経営者の仕事ですが、舵を切る基準はしっかりと持っておかなければいかないでしょう。