付加価値を視覚に訴える

大抵の中華料理店は店舗の外観が中華料理店と分かるものになっています。
それはなぜか、定食屋や寿司屋のような外観だと中華料理店だと分からないからです。
中華料理店を例に出しましたが、どのようなBtoCの事業者も、程度の差はあれども店舗の外観は提供している商品やサービスを表すものになっているのが普通です。

店舗の外観以外はどうでしょうか?
予算の都合上、できなかったということを考慮すれば、内装やメニュー、店舗のwebサイト、配布用のチラシなど、およそ目に付くものは提供している商品に合わせたものを使用しているのではないでしょうか。
○○風というだけでなく、高級店であれば高級感を、一般的な価格であればそれが分かるようなデザインになっているでしょう。
これは中華料理店に限らず、定食屋や寿司屋も同様でしょうし、飲食店にも限った話ではありません。

繰り返しになりますが、提供している価値がどういったものなのかを見込み客にきちんと伝えないと、自身を選んでもらうことはできません。

それに対してBtoB企業はいかがでしょうか?
BtoC事業者のように店舗はないかもしれませんが、名刺や会社案内、webサイトなど、何らかの形で視覚に訴える手段を活用しています。
名刺にプリントされた会社のロゴを変えたら別の会社の名刺としても使える、webサイトのロゴを変えたら他業種のサイトのデザインとしても差し支えない…つまり、提供している商品やサービスを表していないデザインになっていませんか?
その他、webサイトや会社案内のデザインはいかがでしょうか?

名刺・会社案内・webサイトなど、様々な販促・訴求のためのツールがそれぞれ自社の付加価値を伝えるデザインになっていないのであれば、それが理由で機会の損失をしているかもしれません。

デザインの共通化

BMWと言われると、特徴的なフロントグリルをイメージされる方も多いのではないでしょうか。
キドニーグリルと言のですが、キドニー(kidney)とは英語で腎臓の意味で、1933年発売のモデルから、採用されなかったものもいくつかあるものの、現在までずっと採用されています。

自動車のグリルは外部からエンジンルームに空気を取り入れるためにあるものです。
つまり、エンジンを動かすのに空気と燃料を混ぜる必要がある一般の車には必要ですが、電気自動車にはグリルは不要です。

しかし、BMWは電気自動車もフロント部分を同様の形状にしています。
機能的には意味がなくても、一目見たらBMWの車だと分かるようにしている訳です。
走っている車が、BMW車やBMWの企業の宣伝広告になっているとも言えるでしょう。

それに対して、日本車メーカーは共通のデザインという意識が弱いようです。
マツダは唯一の例外で、各車のデザインを共通化しています。
どれを見ても同じように見えますし、共通されたデザインが気に入られないと、どの車も買ってもらえないというリスクはあります。
ですが、トヨタや日産、ホンダと比較して流通台数の少ないマツダは、デザインを共通化することでどの車を見てもマツダのイメージを抱いてもらいやすくなります。

さて、中小企業は製品を世に送り出しても、大抵は大手企業ほどの数を流通されることはできません。
BMWやマツダに倣って、複数の製品のデザインを共通化することで、ブランドイメージの訴求や店舗の棚に並んだ時のインパクトを向上させるように、製品やパッケージのデザインに工夫はできないでしょうか。

製品に対する認識の共有

製品に対する認識の共有

どのような仕事であっても付加価値を高めるためのノウハウがあります。
逆に言うと、付加価値を高めるにはノウハウが必要ということです。
自ら企画をせず、受注生産で製品を作ってきた製造業が、自ら製品を企画してリリースしていきたいというのもよくある話です。
その場合、製作するスキルはあっても、どのように企画していけばよいのか分からない、ノウハウがないという点がネックになります。

大阪府産業デザインセンターが「新商品開発マニュアル」というものをリリースしています。
経営戦略から丁寧に説明してあるうえ、具体的にワークショップの内容なども書かれていますので、これがあればどんな企業でも製品開発ができますとまでは言わないにしても、参考になるのではないでしょうか。

さて、「新商品開発マニュアル」でも触れられていますが、製品に対してデザイン(意匠)を施すことで付加価値を向上させるにあたり、外部のデザイナーを活用する手法があります。
私見ですが、これはあまり上手くいっていないのではないと考えています。
それは、デザインの目的を企業側とデザイナー側が共有できていないというところに原因があると思われます。

戦略的にどういった位置づけの商品なのか、定番主力商品なのか、一時的に売り上げが上がればよいものなのか、実際の商品で言うとカップヌードルしょうゆ味やシーフードヌードルなのか、スモーキーチリしょうゆ味を含めた珍種謎肉シリーズなのか、それぞれ位置づけが異なります。
定番主力商品なら流行り廃りがなく、飽きが来ないデザインである必要があるでしょうし、後者ならインパクトが必要かもしれません。
ともかく、デザインには商品の位置づけの違いが反映させる必要があります。

どういった販路でどのように売られるかということは、デザイナーなら当然考えなければいけない話です。
しかし、戦略的にどういた位置づけで、どれだけの売上を上げるつもりなのか、どのようにプロモーションしていくかといったことは、社外の人間では分かりません。
もし、製品の戦略的な位置づけを考えていないなら、ただ製品の形を綺麗にしただけで終わってしまいます。

とはいえ、デザインの目的を企業側とデザイナー側が共有できていないというのは、双方に原因があると思います。
企業側はデザインとは単に自分たちの気に入った見た目にするものではないという認識を、デザイナー側も経営レベルで製品を考えているという認識を、それぞれが持つ必要があると思われますが、いかがでしょうか。

フォントはそれで良いですか?

フォントはそれで良いですか?

パワーポイントのスライドや資料を作るに当たって、見出しなどでウェイトの太いフォントを使用したり、明朝とゴシックを使い分けたり、ゴシック体も普通のゴシックと丸ゴシックもありますね。

さて、種類や太さだけでなく、フォントによってテイストも違います。
堅い感じのもの、柔らかい雰囲気のもの、様々です。

時々気になるのが、太いフォントを使用したいのでしょうが、創英角ポップ体を堅い文章の見出しや、パワーポイントのスライドのタイトルとして使用しているものです。
以下を比較してみてください、お堅い内容の発表をするイメージです。

フォント比較

いかがでしょうか、AとBを比較して、内容とマッチしていそうなのはどちらでしょうか。

どのようなフォントもTPOを弁えて使用すれば良いのですが、弁えなければ信頼性すら損ないかねません。
フォントに少し気を配るだけで訴求効果が高まると思いますが、いかがでしょうか。

NAS

NAS

NASといってもNetwork Attached Storageことではなく、No Age Statementです。
No Age Statementとは年数表示がされていないウィスキーのことです。

ブレンデッドウィスキーやバーボンなどではもともと年数表示がないものも多いのですが、スコッチウィスキーやジャパニーズウィスキーでは年数表示があるものが主流でした。
近年、各メーカーから年数表示のないシングルモルトウィスキーが次々と発売されるようになりました。
その理由は、ウィスキーの需要が増えたことにより、原酒が不足するようになったからです。

年数表示よりも熟成年数が若いウィスキーを混ぜてはいけません。
12年物ということは使用している原酒はすべて12年以上熟成したものでないといけないということです。
そういった熟成期間の長い原酒が不足したために、熟成期間の短い原酒も使用したNASが増えてきたということです。

別に熟成期間の短い原酒しか使ってない訳ではありませんし、ブレンダーは年数の縛りが無い分、良い原酒を自由に使用できるので、年数表記のあるものと比べて味が劣るなんてことは決してないそうです。

しかし、どうしても年数表記のあるものの方が熟成に時間がかかっていることが明確ですので、良いものであるようなイメージがあるようです。
供給が安定しているために年数表記のものより安価に売ることができることも、イメージを悪くしている原因かもしれません。

とはいえ、熟成期間の長い原酒を作ろうと思ったら、当然ながら熟成期間が必要になります。
だから原酒の量以上に量産することはできません。
そのため、原酒不足の現状ではNASを売る必要があります。

メーカーはボトルやラベルのデザインでその悪いイメージを払拭しているのではないかと考えられます。

  

上の段はジャパニーズウィスキー、下の段はスコッチのNASの例です。
ラベルには当然年数表記はないのですが、ボトルやラベルのデザインは(山崎はそうでもありませんが)そんな安さは感じないと思います。
竹鶴は定価が3,000円(700mL)ですが、他のものは4,000円を超えていますので、特別安いという訳ではありません。

それに加えて国際的コンペティションへの出展や、それらに受賞したことも訴求することでブランディングしているのではないかと考えられます。
実際に、山崎や響がNASだと言っても、年数表記のある他の銘柄と比較してイメージが悪いなんてことはないと思います。

どのような商品・サービスも、とは言えないかもしれませんが、デザインの活用次第でイメージアップ(ダウン)が可能ではないかと思われますが、いかがでしょうか?
そういった施策を取れる余地はありませんか?

らしさと差別化

らしさと差別化
写真は酒屋の瓶ビールコーナーの写真です。
たくさんあって選ぶのも楽しそうです。

さて、最初から購入する物が決まっていた場合は別ですが、顧客が店に来て商品を目の前にした状況から選択してもらうためには、商品を手に取ってもらう必要があります。
そのためには顧客の目に留まる必要があります。

上の写真で言うなら、たくさん並んだビール瓶のなかで存在を主張しなくてはいけません。
主張するため一番大きいファクターは、デザインで一番差別化しやすいラベルでしょう。

では目立てば良いか…となるとそう簡単な話ではありません。
目立つためにビールらしさを失ってしまうと、そもそも手に取ってもらえない可能性が高まりますし、好奇心で手に取ってみた後で、結局怪しくて棚に戻す可能性もあります。
他のメーカーの商品を見て、横並びでビールらしさを感じるラベルにすると結局埋もれてしまいます。

元々歴史があって良いブランドイメージが定着している商品はともかくとして、新規商品は店に並べられた状況を考慮して、外装(瓶ビールの場合はラベル部分)にもうちょっと注意を払っても良いのではないでしょうか。

派手だと目立つか?

派手だと目立つか?

ちょっとYahoo!のトップページをご覧ください。
閲覧時間は特に指定しません。
上から下まで全て見ていただいても結構ですし、途中までしかご覧にならないのも自由です。

ご覧になられたら続きをお読みください。

さて、Yahoo!のトップページの検索フォームの下の右の方にバナーがあるのですが、どんな内容だったか覚えていますか?
検索フォームのすぐ下の真ん中にニュース記事切り替えのタブがあります。その下のバナーはいかがでしょうか?

訴求する内容が興味を引けば目を止めやすいでしょうし、制作者のスキルなども目を止めてクリックしたくなる、ならないという違いは出てくるでしょう。
バナーですから閲覧者の目に留まり、訴求できるように作ってはいるはずです。
ですが、実際のところ視野内にはあっても、意識まではされていません。

何もこれはWebサイト上のバナーに限った話ではありません。
店舗のファサード看板もそうですし、役所の公用車が側面にマグネットシートを貼って走っていることもありますが、そもそも意識して見てもらえないと「そこにある」ことさえ認識してもらえないかもしれません。
それは、派手であるなしはあまり関係ないように思います。
いつも利用している駅前の風景を思い浮かべてみてください。
取り立てて派手ではない飲食店の看板はどんなものか覚えてないが、派手なパチンコ店のネオン看板は覚えている、なんてことはないでしょう。
おそらく派手である事自体は関係ないはずです。

バナーと看板の例を挙げましたが、これらに限らず視覚への訴求に対して、見る側が無意識下で宣伝や広告だと判断し、脳が入力された情報を留め置かないで消去しているのではないかと考えています。
ですから、いまひとつ効果が感じられないといって安易に派手にしようとするとかえって無視されるなんてことにもなりかねないのではないでしょうか。

切れ端に殴り書き

最近はメールで済ますことがほとんどで、手紙を書くことは減りつつあるのでしょうが、やはりメールより手紙の方が受け取った方の印象は良いのではないかと思います。

切れ端に殴り書き

さて、仮に挨拶状を手紙で書いて送ったとします。
ちゃんとした便箋に万年筆とは言わなくても、それなりの筆記用具で書いたもの。
切れ端に鉛筆で殴り書きにしたもの。

手紙は書いてある中身が大事であることは間違いありません。
ですが、内容が同じでも、上記の2つでは受ける印象がそれぞれ異なるのは想像に難くないでしょう。

さて、人に見せるものにどの程度気を配っているでしょうか?
企業だったら名刺、会社案内、製品のパンフレットやWebサイトなど。
営業マンならプレゼン資料やPowerPointのスライドなどもありますね。
店舗だったらポップや包装など、他にも色々あるでしょう。

別に中身よりも外身に気を配れと言う訳ではありません。
必要以上に意匠性を高めろと言う訳でもありません。
ただ、中身を損なうような外身になっていませんかということです。

高級ブランドは紙袋も上等です。
高い服を入れる紙袋がペラペラだったらブランドイメージを損なうからです。
意識して見ていなかったかもしれませんが、そのように中身に合わせた外身をしているものを誰もが今までいくらでも見ているはずです。

人に見せるためのものに施されたデザイン(意匠)を是非意識して見るようにしてみてください。
デザインの役割や意図などが、見えてくるはずです。
そして、人に見せるものにも是非意識をして、デザインを有効活用いただけたらと思います。

経営におけるデザインの重要性(後編)

前回の続きです。

経営におけるデザインの重要性(後編)

実際のところ、デザインとはマーケティングミックスの4Pの内のプロモーションの一部程度に思われているのではないでしょうか。
個人的に、デザインは経営資源であると考えています。
視覚に訴求するものには全てデザインが施され、その活用如何で訴求力が変わるからです。

本来はデザイナーが啓蒙すべきこと

さて、経営におけるデザインの重要性は、本来、デザイナーが啓蒙・啓発すべきことだと考えていますが、なかなか社会全体に広まらないのはいくつか原因があります。

原因1:制作サイドの認識

そもそもデザイナー、制作会社などの制作サイドが、経営におけるデザインの重要性を認識していないとどうにもなりません。
実際のところ、そういった認識で制作している企業やデザイナーがどれだけいるのかは分かりませんが。

原因2:広告代理店など中間業者の認識

仮に制作会社が認識していなくても、広告代理店などの中間業者がちゃんと認識していればそのように指示・依頼できます。
しかし、中間業者にそういった認識がない場合は、制作サイドの意思や意図が中間業者でストップしてしまうことになるでしょう。

原因3:依頼側の認識

依頼企業側の誰が窓口担当であるかによっても、経営におけるデザインの重要性の伝わり方が変わります。
経営のトップに近い人が窓口担当になれば、制作側(制作会社、あるいは中間業者)は経営におけるデザインの重要性を比較的伝えやすくなります。
しかし、ある程度の規模の会社で、担当者がトップマネジメントから階層が離れるほど、重要性を伝えることが難しくなります。
担当者が経営を意識できなかったり、担当者が認識できても経営におけるデザインの重要性が経営のトップ層まで伝わりにくいからです。
そもそも、従業員に経営理念が浸透していないケースもありますね。
以上のように、依頼側と制作側のいずれかに認識不足の人がいる場合、チグハグなものができあがってしまうことになるでしょう。

実際、大企業でも経営レベルでデザインを適切に活用できている企業の方が少ないと感じています。
担当者が自分の好みでデザインの判断を行っていたり、こちらは客だから言うことを聞けといったことは、企業規模の大小は関係ないからです。

解決策

「経験や知識が無い方でもここだけ見ればOKです」と言えるようなポイントはありません。
当然ながら、デザインの良し悪しを判断するには、それなりの経験や知識が必要です。

しかし、意識するとしないとでは結果は大きく変わるでしょう。
具体的には、企業理念やフィロソフィー、ドメインなどをもう一度確認したうえで、従業員間(少なくともデザインの可否の判断をする人)で徹底してください。
そして、それに基づいてデザインを判断するように指示してください。

制作依頼時には、まず経営理念や事業ドメイン(誰に、何を、どのように)をしっかり説明します。
その後、デザインを提出してもらう際に、説明をどう汲み取ったのか、デザインのコンセプトを口頭でもコンセプトシートでも結構です、デザインの提示よりも先に説明してもらうようにしましょう。
もちろん、その説明が見当違いでしたらどんなデザインでも無意味なものです。見るまでもなくボツになります(せっかくですので見たいでしょうし、好みのデザインだからといって、それでOKを出さなければ見るのはもちろんOKです)。

その上で、コンセプトにどう沿っているのかの説明を聞きながらデザインを確認すれば、説明とデザインが合致しているかどうかの判断材料をもちながら確認ができるはずです。

これらは依頼側だけでなく、制作側にもメリットがあります。
依頼している本人にさえよく分かっていない「好み」というものに合致するように何度も作り直しながら手探りで制作しなくてよくなります。
さらに、論理的に判断してもらえるなら、制作サイドは明確な基準をもって制作することができるので、仕事がしやすくなります。

その結果、好みを手探りしながら作るよりも制作期間が短くなること、基準が明確なので制作物のクオリティも高まります。
さらに、コンセプトを汲み取った上で別のアプローチの提案などもしてもらいやすくなるという、依頼側にとっての新たなメリットも発生します。

最後に

デザインを経営レベルで判断し、活用するという意識をもった企業は、大企業にも少なく、中小企業ではほとんど存在しないでしょう。
そのためデザインをうまく活用できるようになることで、企業は大きな武器を手に入れることになりえます。
今まで気にされたことがなかったかもしれませんが、少しでもデザインを活用していただけたらと思います。

経営におけるデザインの重要性(前編)

経営におけるデザインの重要性

以前、デザインとは意匠のことだけではない旨書きましたが、今回は意匠という意味でデザインという単語を使用しています。

経営理念を額に入れて掲示しているイメージが2点ありますので、それぞれを見比べてください。
内容は適当に考えたものですが、フォント以外は両方ともまったく同じです。

経営におけるデザインの重要性の例01

いかがでしょうか、左側の行書体で書かれた方がちゃんとしてそうに見えないでしょうか?
従業員が、あるいは来訪者が右側のものを見たとして、どういった印象を受けるでしょうか?

フォントが変わるだけで見た人に与える印象が変わることがお分かりいただけたと思います。

本来、企業にとってデザインとは重要な要素です。
会社案内、名刺、Webサイト、ユニフォーム、店舗などの看板や外装・内装など、事業をするうえで視覚に訴える物をかならず使用します。
そして、視覚に訴えるものには大なり小なりデザインが施されています。
仮に、デザインの素人がなんとなくで文字を配置しただけのショボい名刺にしても、「なんとなくで文字を配置したショボい」デザインなのです。

さて、上の例では理念そのものとデザイン(フォント)はマッチしてますでしょうか?

理念とデザインのマッチ

理念とデザインのマッチという点をもう少し掘り下げてみたいと思います。

例えば、経営理念が「顧客のために他社の3倍のスピードで仕事をします」という企業があったとします。
その企業の社名が「株式会社静寂」だったらどうでしょう?
「静寂」という社名から来るイメージが経営理念とマッチしていませんよね。

仮に「株式会社Threefold」として、これが理念とマッチした企業名だとしましょう。
以下に企業のロゴのサンプルを3点並べてみましたが、この中ならどれが他社の3倍のスピードで仕事しそうに感じるでしょうか?

経営におけるデザインの重要性の例02

社内外の方の視覚に訴えるものは、経営理念にマッチしていないと、訴えていることと見た目から来るイメージとの間にギャップを感じてしまい、企業としての信頼感に悪い影響を与えかねません。

一貫したコンセプト

経営理念というものは、ロゴやCIに現れるだけのものではありません。
「早くて、安くて、そこそこ美味しい」という経営理念の飲食店と、「最高級の料理を最高級のおもてなしで」という経営理念の飲食店では、料理とその値段、スタッフのサービス、外装、内装全て違うはずです。
企業としての戦略、製品やサービス、従業員の意識や行動などが企業としてのブランドを作っていくものなのですが、デザインが持つ役割がブランド構築に大きな影響を与えることもあります。

例えば、Appleという企業にどのようなイメージをお持ちですか。
Mac Book AirやiPhone、Apple Watchなど、洗練されたかっこいいデザインの製品を作るイメージを持たれている方が多いでしょうか。
特にiPhone、iPad、iPod(iPod touch)など、製品のデザインが似ていますが、Appleは全ての製品において一貫したコンセプトの元にデザインされていると見受けられます。
デザイン自体は流行り廃りがありますので、製品のデザインそのものは時代に応じて変わってきていますが、根底にあるものはおそらく変わっていないでしょう。
製品だけでなく、WebサイトやApple Storeや量販店内のApple専用の売り場もシンプルで、洗練されているイメージで貫徹されています。

Appleが一貫したコンセプトを基にして製品やWebサイト、店舗などをデザインすることで、強力なブランドイメージを確立・訴求したということはお分かりいただけたかと思います。

しかしながら、それはAppleだからできたことでしょうか?Appleでないとできないことでしょうか?
決してそんなことはないと思います。

それは、そもそも経営理念というものがない、経営理念が従業員に浸透していない、経営理念に基づいた行動ができていない。
そして、視覚を通じて訴求するためのデザインの判断を、経営理念に基づくという意識をもっていないからではないでしょうか。

続きます。

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