数字の比較

数字の比較

海東一の弓取りと称された今川義元が上洛のために東海道を上る最中に、織田信長に敗れた桶狭間の戦いは特に歴史に詳しくない方でもご存知でしょう。
今川義元は駿河・遠江・三河の三国を収めていたのに対して、織田信長は尾張一国のみ。
圧倒的な相手に対して奇襲作戦で…というのが一般的な認識でしょう。

治める国の数は3対1ですが、はたして国力も3倍異なったのでしょうか?
桶狭間の戦いのあった永禄3年(1560年)の石高は不明なのですが、太閤検地(1598年)の時の駿河・遠江・三河の石高は3か国で70万石、それに対して尾張の石高は57万石だったとのこと。
もちろん、今川義元の所領の方が石高は高いのですが、石高を比較しても3倍もの差はありません。

さて、経営を行うにあたって、定量面で比較することは多々あります。
ベンチマークとしている企業の売上や利益、あるいは自社の昨対比、個々の売上目標など、挙げだすときりがありません。
では、その数字の比較は妥当なものでしょうか?

例えば部門ごとに売上高を目標にするというのはよくある話ですし、妥当性もあります。
しかし、数字だけを見ても短期的な売上での上げ方で、いつまで続くのか分からない状態なのか、顧客と長期の取引関係を築いているのかは分かりません。
ありがちな話として、営業担当者が顧客獲得のために大幅にディスカウントしていて、売上はあがっているけど利益が出ていないということがあります。

比較をするなら適切な数字と数字以外の要素も考慮に入れないと、売上が上がっているのに儲かってないなんてことにもなりかねません。
数字は適切に管理されていますか?

製品に対する認識の共有

製品に対する認識の共有

どのような仕事であっても付加価値を高めるためのノウハウがあります。
逆に言うと、付加価値を高めるにはノウハウが必要ということです。
自ら企画をせず、受注生産で製品を作ってきた製造業が、自ら製品を企画してリリースしていきたいというのもよくある話です。
その場合、製作するスキルはあっても、どのように企画していけばよいのか分からない、ノウハウがないという点がネックになります。

大阪府産業デザインセンターが「新商品開発マニュアル」というものをリリースしています。
経営戦略から丁寧に説明してあるうえ、具体的にワークショップの内容なども書かれていますので、これがあればどんな企業でも製品開発ができますとまでは言わないにしても、参考になるのではないでしょうか。

さて、「新商品開発マニュアル」でも触れられていますが、製品に対してデザイン(意匠)を施すことで付加価値を向上させるにあたり、外部のデザイナーを活用する手法があります。
私見ですが、これはあまり上手くいっていないのではないと考えています。
それは、デザインの目的を企業側とデザイナー側が共有できていないというところに原因があると思われます。

戦略的にどういった位置づけの商品なのか、定番主力商品なのか、一時的に売り上げが上がればよいものなのか、実際の商品で言うとカップヌードルしょうゆ味やシーフードヌードルなのか、スモーキーチリしょうゆ味を含めた珍種謎肉シリーズなのか、それぞれ位置づけが異なります。
定番主力商品なら流行り廃りがなく、飽きが来ないデザインである必要があるでしょうし、後者ならインパクトが必要かもしれません。
ともかく、デザインには商品の位置づけの違いが反映させる必要があります。

どういった販路でどのように売られるかということは、デザイナーなら当然考えなければいけない話です。
しかし、戦略的にどういた位置づけで、どれだけの売上を上げるつもりなのか、どのようにプロモーションしていくかといったことは、社外の人間では分かりません。
もし、製品の戦略的な位置づけを考えていないなら、ただ製品の形を綺麗にしただけで終わってしまいます。

とはいえ、デザインの目的を企業側とデザイナー側が共有できていないというのは、双方に原因があると思います。
企業側はデザインとは単に自分たちの気に入った見た目にするものではないという認識を、デザイナー側も経営レベルで製品を考えているという認識を、それぞれが持つ必要があると思われますが、いかがでしょうか。

意味の付与

意味の付与

台風の季節ですが、台風は東日本よりも西日本に上陸することが多いのは、太平洋高気圧の張り出し方や偏西風などが要因なんだそうです。
とはいえ、東北地方にも台風は来ない訳ではありません。

主に東北地方では「りんご台風」の別名で呼ばれている、平成3年9月に日本に上陸した台風19号は、全国各地に甚大な被害を及ぼしましたが、青森県のりんご農園も被害を受け、収穫前のリンゴがほとんど落ちてしまうという被害に見舞われました。
ある農家は、台風で落ちずに残ったリンゴを「落ちないリンゴ」として販売し、受験生向けの合格祈願の縁起物として販売し、人気を呼びました。

ものとしてはただのリンゴです。
しかし、台風で落ちなかったリンゴを「落ちないリンゴ」として新たな価値を付与することで、受験生向けの縁起物という意味の商品になりました。

さて、機能、性能という商品の持つ本来の価値で、差別化ができているなら、競合との競争を避けることができているなら良いのですが、コモディティ化してしまった場合、違う価値を提示しないと単なる価格勝負になってしまいます。

飲食店で誕生日パーティーや記念日を祝うサービスを行っているところがあります。
例えば毎年誕生日にその店で家族で食事を取っていたら、その店は1年で1日だけだったとしても、他の店とは違う意味を持った店になっているといえるでしょう。
1年に1度の決まった日は、その店に行くという理由ができている時点で、コモディティ化していませんよね。

ミラノ工科大学の経営大学院教授のロベルト・ベンガンティは自著であるデザイン・ドリブン・イノベーションの中で、人々は製品ではなく意味を買っていると述べています。

台風で落ちなかったリンゴが受験生向けの縁起物になりました。
他の商品でも、新たな意味を付与できないでしょうか?

データと感覚

データと感覚

毎日暑い日がつづきます。
ご存知の方も多いと思いますが、観測するための気温というのはそこら辺の気温を測っている訳ではなく、百葉箱の中の温度を測っています……というのは過去の話で、今は強制通風筒というものがメジャーなんだそうです。
いずれにせよアスファルトからの熱や直射日光を排した気温であることには違いがありません。

だから、舗装されたアスファルトの道路に立っている時の、周辺の温度は発表されたものよりもさらに高いものになります。
つまり、気象庁が発表する数値と実際に感じる気温とでは、程度の違いはあれ差があるということです。

さて、統計情報は経営判断をするにあたって重要な基準の一つになります。
商圏の人口はどうなっているのか、人口構成がどうなっているのか、マクロ的には正しい情報だとは思いますが、ミクロ的にも正しいかどうかは分かりません。
例えば、少子高齢化で高齢者の数が増えていても、高齢者向けの商品・サービスの全ての市場が拡大しているとは限りません。
逆に子供向けの市場で拡大している市場もあるかもしれません。
データだけでなく、現場感覚も加味して考える必要があるのはご納得いただけるかと思います。

では、現場感覚が全てにおいて正しいかというと、それも疑問があります。
気温で例えると、自分の周囲しか分からないこと、熱さ寒さにはある程度適応できるために微妙な変化は分かりづらい、加えて長期的な変化までは分からないなどが挙げられるでしょうか。
同様に、現場感覚だけでは正確に分からないこともあるのではないでしょうか。

何事にも言えることかもしれませんが、どちらかだけに頼ってしまうと正確なことは分からないのかもしれません。
データと感覚と両方のバランスを取る必要があると思われますが、いかがでしょうか。

新規参入者の価格設定

新規参入者の価格設定

できたばかりの飲食店に行って、仮に出てきたものがまずかったとしたら、新しくできた店だからまずくてもしょうがないなと思うでしょうか?
もちろん、そんなことは思いませんよね。
値段相応のものを出してもらわないといけないのは、新しくできた店だろうが、老舗だろうが関係ないはずです。

さて、新規参入したサービス業の事業者が既存の事業者よりも同じサービスでも低価格に設定することはよくあることです。
新規参入者なので実績がないため、サービスの品質を証明できないからということが理由の一つでしょうか。
これを、顧客の立場で考えてみたらどうでしょうか?

顧客からしてみたら新規参入の事業者も既存の事業者も全部ひっくるめて同じ基準で比較して、どこに依頼するかを決めるはずです。
新規参入だからそれなりの成果でも良いとは思ってはくれません。

既存事業者よりも低価格の値段設定をするということは、同じ値段だと仕事を受注できる自信がありません、既存事業者と同じラインに立てませんと自らアピールしているようなものと言い換えることができるでしょう。
それはプロの態度とは言えませんので、顧客から信頼されないのも当然です。

価格には品質をイメージさせる効果があります。
ちゃんとしたサービスを提供できる事業者であることをアピールするには、価格設定も重要であるはずです。
つまり、新規参入だから既存事業者よりも低い価格に設定するということは逆効果だと思うのですが、いかがでしょうか?

I want you, I need you, I love you

I want you, I need you, I love you

商品・サービスを考えるにあたり、プロダウトアウトという視点とマーケットインという視点があります。
自社のリソースから考えるか、市場のニーズから考えるかと言い換えられるかと思います。
実際には競合も存在しているため、リソースとニーズの両方を満たすと事業が成功するとも言い切れません。

少しフォーカスを当てる点を変えて、自社の商品・サービスを選んでくれる顧客はどういった人・企業・事業所かという観点から考えてみるのはいかがでしょうか?
リソースがある、ニーズがある、そこで競合とどう戦うか…ではなく、最初から強豪と戦わずに済みそうなところを探します。
競合(商品・サービス)ではなく、あくまでも自社(商品・サービス)を選んでくれる顧客の質と数が十分であれば事業として成り立つという考え方です。
また、商品・サービスの仕様をどのようにすれば、より高い付加価値を提供できるか、喜んでいただけるかということを考える点は、従来のマーケットインの考え方と同じです。

魅力的な市場には競合も多く、必然的に競争環境に身を置くことになりますが、最初から自分を選んでくれそうな顧客であれば競争を避けて相思相愛になりやすいということです。
ただ、相手からは「I love you」のyouは自社のことですが、顧客に向ける「I love you」のyouは複数形です。
人間同士だとモラルにかけるかもしれませんが、事業であれば問題ないでしょう。

方法の前に

X-Y=Z

売上をアップさせるというのは大抵の事業者様にとって課題と言えるでしょう。
ではどうしたら良いか…と具体的な方法を考えるのは尚早です。

X-Y=Zの計算においてZを求めようと思ったら、XとYが分かっている必要があります。
同様に、まずは目標値が決まらないと現在との差分が分かりません。
具体的な方法はその差分によって変わってきます。
同期間で売上を1割アップさせる手法と、2倍にする手法が同じではないというのはイメージできるかと思います。

同様に、アプローチしたい相手に対して訴求をしようと思ったら、やはり相手が明確である方が訴求力が高まります。
「30代の女性」と「30代のビジネス街で働く既婚女性、毎月の化粧や美容にかけられる金額は10,000~15,000円程度、通勤で片道20~30分程度は電車に乗っており、その間はスマートフォンを使用している」
どちらが効果的なアプローチ方法を考え付きやすいかという点を考えると、応えは明白ですね。

資格取得を励行したり、資格取得の補助をしたりすること自体は良いことですが、それが戦略に基づいたものであればさらに効果が高まります。
例えば数年後企業がどうなっていたいか、企業の戦略や売上、組織の在り方、そういったものが従業員がどう成長していってほしいかを決めるはずです。

現状は把握しているとして、ゴールは設定されていますか?
それがないと選択肢から適切な選択ができないし、そもそも選択肢すら用意できないかもしれません。
どこにあるのかわからない場所に、当てずっぽうで行こうとしていませんか?

青い海

青い海

不戰而屈人之兵、善之善者也

孫子の有名な文句ですね。
原文は前段階の説明があって、「是故百戦百勝、非善之善者也。不戦而屈人之兵、善之善者也」となっています。
つまり、「百回戦って百回勝つというのは優れたものではない。戦わないで敵を屈服させるのが最高に優れたものである」ということです。

ブルーオーシャン戦略もまた、競争のない状態を作り出すべきという論です。
それができたら苦労しないと思われるかもしれませんが、そもそも競争のない状態を作ろうとしなければできるはずがありません。

うまみのある市場は誰にとっても魅力的な市場ですから参入者が多く、結局のところ競争の中に自ら飛び込んでいくことになってしまいます。
競争に勝ち抜くことができれば良いのですが、規模が小さい企業は難しいのが現実です。
今後はこの市場が大きくなりそうだから参入しよう、これをやっている限りは競争に勝ち抜ける一つまみの企業以外は常に収益性が低い状態を脱することができません。

市場(ニーズ)がない商品・サービスでは儲からないのはいうまでもありませんが、誰にとってもうまみのある市場なら競合も多くなるので競争が激しくなって、自社にとって儲かる市場とも言い切れません。
性能と価格の勝負のような、既存の枠組み内で考えていたら、おそらく競争から逃れるのは難しいでしょう。
違う評価軸を与えて、市場を既存にはないセグメンテーションができないでしょうか?

ザイアンスの法則

ザイアンスの法則

アメリカの心理学者であるロバート・ザイアンスが提唱したザイアンスの法則はご存知でしょうか。
人や物事に対して接触回数が多いほど、それらに対して良い感情を持つというものです。
定番商品と呼ばれる商品も多々ありますが、そういった充分に知名度が高い商品の宣伝広告を行うのも、消費者との接触を続けるために行われているということです。
テクニックとして、自分に対して良い感情をもっていただくためには、接触回数を多くしていくといういうことになります。

人同士の場合は実際に会うことができないことも多いでしょう。
その場合はSNSやメールマガジンなどのネット媒体をうまく活用することで、実際に会わなくても同様の効果が得られると思われます。
この場合は頻度が多すぎると却ってうざがられる気もしますが…。

さて、先日私が所属している大阪府中小診断協会の新年互例会がありました。
毎年参加しているのですが、今年はお仕事を頼める新人を紹介してほしいという依頼をあるところより受けており、今年はそのお仕事をやっていけそうな方を探す目的をもって参加していました。
そもそも独立してやっていこうという方があまり参加していなかったので、ミッションは果たされなかったということになります。

こういった場に参加しないとチャンスを逃がしますよという話がしたい訳ではありません。
今回のケースでいうと、いくら人を探しているといっても、よく知らない人を紹介するわけにはいきませんし、そもそも紹介してほしいといわれた時点で頭に思い浮かぶぐらいの人なら、その時点でこういう人がいますと回答しているでしょう。
言いたいのは、普段から人と会っていますか?ということです。
人と会っているといっても、いつもと同じ面子では意味がなく、不特定多数でないといけません。

もしチャンスが欲しいのなら、普段からどれだけの人とどれだけ会うか。
それによって、親近感などを高めるということも、一つの重要なポイントだと思われますが、いかがでしょうか。

視点の転換

視点の転換

SWOT分析やバリューチェーン、VRIO分析など経営戦略を策定する際に使用する手法・フレームワークがありますが、それらは自身の強みに立脚しています。
自分の強み、得意な点が競合優位性の源泉になるので、それを生かせる市場が自分が勝ちやすい市場であり、そういう市場に進出するのが効率的で安全性が高いからです。

しかしながら、それをそのまま見込み客に訴求してもあまり意味がありません。
なぜなら顧客にとっての価値になっていないからです。

例えば、加工業で「設計から最終的な加工までをワンストップで受注できます」という企業があったとします。
競合はワンストップの受注をするだけの体制もできていないし、スキルもありません。
競合と比較すると、ワンストップで受注できることは強みと言えるでしょう。

発注元から見て、工程ごとに発注先をいちいち探すのは大変ですので、一見ワンストップでやってくれると発注候補になりえるでしょう。
ですが、設計を頼んだ業者が必要な加工を外注業者に依頼しても同じことです。
納期と価格のバランスがとれていれば、注文した相手がどのように製作しようが構わないはずです。

ワンストップで受注できますではなく、

  • ワンストップで受注できるので、他の会社よりクオリティが高いです。
  • ワンストップで受注できるので、他の会社より価格が安いです。
  • ワンストップで受注できるので、他の会社よりリードタイムが短いです。

になって、初めて顧客にとっての価値になります。

顧客は比較優位性や強みに料金を払ってくれるのではなく、それによって得られるベネフィット(自社の課題の達成)に料金を支払う訳です。
したがって、自社の視点から顧客の視点への転換をしてから訴求内容を検討する必要があると考えられますが、いかがでしょうか。

ご依頼やご相談、お問い合わせなどはこちらより受け付けております。
初回のご相談は無料ですので、お気軽にお問い合わせください