労働生産性

日本生産性本部の調べによると、2016年の日本の就業者1人当たり労働生産性の労働生産性はOECD加盟35ヵ国中20位で、1位のアイルランドの半分以下となっています。
国によってそれぞれ事情も違うでしょうから単純比較はできないかもしれません。
実際、日本の労働生産性に関しては、色々な人は色々な意見を述べていますが、日本の労働生産性がさほど高くはないというのは違いないでしょう。

就業者1人当たり労働生産性は、GDPを就業者数または労働時間で除して求めます。
つまり、同じものでも安く売れば、高く売るよりも労働生産性は低くなるということです。
意地の悪い言い方をすると、大手企業が下請けいじめをすれば、それだけ労働生産性は上がらないことになります。

手間に対して利益を得られない過剰なサービス、安価に生産できる体制ではないのに安価に販売するといった、無計画な安売り、成果の得られない会議も労働生産性は低くなる原因です。

少子高齢化で労働力の確保が難しくなっているのに、何もやり方を変えなければ、ますます労働生産性は下がっていくでしょう。
しかも、最低賃金は上がっていきますので、企業の利益は下がっていきます。
何もしなければ、余計に対策が難しくなります。

今がそのタイミングなのかは企業によって違うでしょうが、本気で生産や作業効率を高める、あるいは製品・サービスの付加価値を高めて、労働生産性を上げる取り組みをしていく必要があるのではないでしょうか。
しかもそれはAをA’にするようなマイナーチェンジではなく、ドラスティックな改革かもしれません。

差別化の達成

差別化の達成

事業において大企業、しかも市場のリーダー企業であれば別かもしれませんが、競合と差別化されていることが重要であることに異論はないでしょう。
差別化されていなければ、価格競争に巻き込まれやすくなり、収益性が下がってしまいます。
中小企業であれば、尚のこと差別化が重要だと言えるのではないでしょうか。

ジェイ・B・バーニーの提唱したVRIOフレームワークというものがあります。
経営資源、ケイパビリティ(組織的な能力)が競争優位性を持つかということを、価値、希少性、模倣困難性、組織の4つの視点で見るフレームワークですが、詳細は割愛します。
経営資源やケイパビリティだけではなく、提供している製品・サービスも、価値、希少性、模倣困難性、組織の4つの視点で見ることができると思います。

さて、差別化とは競合と違っていればよいものではなく、価値を伴ったものである必要があります。
また、差別化できているのであれば、希少性も備えていると言えるでしょう。
一時的な差別化では意味がありませんので、模倣困難性を伴ったものである必要があり、差別化された製品・サービスを提供し続けることができる組織である必要があります。

では、これだけでOKなのでしょうか?

差別化されていると判断するのは誰ですか?
製品・サービスを提供する側ではなくて、顧客の側です。
つまり、差別化されていることが、顧客に伝わらなければいけないということです。

差別化が重要、それは違いが顧客に伝わって初めて達成することだと言えるでしょう。

差別化

差別化

顧客から選ばれるためには、競合と差別化ができていないといけません。
これはどなたもご納得いただけることかと思います。

差別化も、大きく2つに分けられるかと思います。
そもそもドメインがことなるなどの企業(事業)レベルでの差別化と、製品やプロモーションといった機能戦略・オペレーションレベルでの差別化です。

前者は競合がいない戦略を取っており、後者はドメイン自体は競合と同じですから競合がいることを前提とした戦略になるでしょう。
だとすれば、前者の方が競合がいない分、収益性も高いことが考えられます。

競合がいなければ、顧客は購入するか、あるいは購入しないかの2つの選択肢しかありません。
顧客に対して購入を促すように働きかけることに集中できます。
しかし、競合がいれば、自社から購入するか、競合から購入するか、購入しないかの3つの選択肢になります。
競合が増えるほど、顧客側の選択肢が増える…つまり、自社が選択される率が下がるということです。
競合の動きに合わせた行動を取らざるを得ないなんてことも発生しますので、競合が多いほど効率性や収益性は下がります。

機能戦略・オペレーションレベルでの差別化ではなく、企業(事業)レベルでの差別化が必要であることはご納得いただけるかと思います。
では、それだけで必要十分なのでしょうか?

どこがどう差別化されているのかを認知しないといけないのはステークホルダーです。
ですから、ステークホルダーに他の企業とは違うという点を訴求する必要があります。

経営やマーケティングなどのビジネス書や学術書の場合、戦略レベルのことは詳しく書いてあっても、実行レベルのことには触れられていないものも多いです。
その点は自分で考えなければなりません。

さて、どうやって差別化を実現し、認知させましょうか。
アイデアやプランはちゃんとおありでしょうか?

数字の比較

数字の比較

海東一の弓取りと称された今川義元が上洛のために東海道を上る最中に、織田信長に敗れた桶狭間の戦いは特に歴史に詳しくない方でもご存知でしょう。
今川義元は駿河・遠江・三河の三国を収めていたのに対して、織田信長は尾張一国のみ。
圧倒的な相手に対して奇襲作戦で…というのが一般的な認識でしょう。

治める国の数は3対1ですが、はたして国力も3倍異なったのでしょうか?
桶狭間の戦いのあった永禄3年(1560年)の石高は不明なのですが、太閤検地(1598年)の時の駿河・遠江・三河の石高は3か国で70万石、それに対して尾張の石高は57万石だったとのこと。
もちろん、今川義元の所領の方が石高は高いのですが、石高を比較しても3倍もの差はありません。

さて、経営を行うにあたって、定量面で比較することは多々あります。
ベンチマークとしている企業の売上や利益、あるいは自社の昨対比、個々の売上目標など、挙げだすときりがありません。
では、その数字の比較は妥当なものでしょうか?

例えば部門ごとに売上高を目標にするというのはよくある話ですし、妥当性もあります。
しかし、数字だけを見ても短期的な売上での上げ方で、いつまで続くのか分からない状態なのか、顧客と長期の取引関係を築いているのかは分かりません。
ありがちな話として、営業担当者が顧客獲得のために大幅にディスカウントしていて、売上はあがっているけど利益が出ていないということがあります。

比較をするなら適切な数字と数字以外の要素も考慮に入れないと、売上が上がっているのに儲かってないなんてことにもなりかねません。
数字は適切に管理されていますか?

経営戦略のフィット感

経営戦略のフィット感

古今様々な経営戦略、手法が生まれています。
しかし、それは企業の規模や条件に合ったものなのでしょうか?

アカデミックな世界で経営学者が提唱したものは、どういった規模の企業を想定しているのでしょうか。
サンプルの得やすい大きな企業をベースにした戦略をそのまま中小企業がやったとしたら、それはちゃんと機能するのでしょうか?
また、成熟した市場に基づいて検討された戦略は、成長市場においても有用なのでしょうか?
最寄り品市場を想定した戦略は、買い回り品市場において役に立つのでしょうか?

例えば、ブルーオーシャン戦略を全ての企業が実践できるのでしょうか?
事例に上がっている企業の規模、市場はどうでしょうか?
小さな企業には死の谷やダーウィンの海を乗り越えて、オーシャンを築くまでの企業体力があるのでしょうか?
金融機関はどこまで融資をしてくれますか?

どのような戦略も実行できる企業には条件があります。
何かで成功した企業があるとマスコミは騒ぎ立てることがありますが、新聞・雑誌のスペースを埋めるために、TVの時間を埋めるために軽佻浮薄に騒ぎ立てていることを忘れてはいけません。

あくまでも戦略は目標を達成するために手段ですから、適切な手段は企業によって異なります。
自社に合った戦略を選ぶ、言葉にすれば当たり前だと誰もが思うはずです。
自社に合うかどうかというチェック項目はちゃんと用意されているでしょうか。

猛獣

猛獣

アクが強い、パンチが利いている、猛獣…これらは複数の方が自分の知っている女性経営者を指して言ったことです。
別に悪く言っている訳ではなくて、それぐらいの人でないと起業はできないという文脈です。
会社の枠に収まり切れず、また安定した境遇を捨てて世の中に打って出ようという気概と実行力が、こういった表現になるでしょう。

さて、昨今副業を認める動きが盛んになっています。
もっとも、副業と言っても色々な形態があるかと思いますので、労働力を提供して給料をもらうものではなく、自ら付加価値を生んで報酬を得るタイプものをこの記事では指します。

本業で得たスキルを活かして副業を行って収益を得たい、資格を生かして副業を行って収益をたい、同機は色々あるかと思います。
しかし、仕事を頼む人は自身の利益になるから依頼する訳です。
だから、実績のある人に頼みたいし、副業で(片手間に)やっている人ではなく、主業としてやっている人に頼みたいはずです。

ただ副業を始めましたと言っても、誰も仕事を頼まないでしょう。
仕事を頼む側からすると、実績のある人がいくらでもいる訳ですから、あえて主業ではなく副業の人に頼むメリットが薄いからです。
言い換えると、主業でやっている人との競争を避けられるようなこと、あるいは競争しても勝てることでないと仕事を得ることができません。

会社勤めを辞めて起業をする人は先ほど書いたようにアクが強い、パンチが利いている、猛獣と言えるような人でないと駄目だとすると、副業の人はどうなのでしょうか?
副業にどこまで求めているのかは人によって異なるでしょう。
しかし、ちゃんと業としてやっていくのでれば、企業か同様にアクが強い、パンチが利いている、猛獣と言えるような人でないと駄目なのではないでしょうか。

主君を7度変えねば武士とは言えぬ

主君を7度変えねば武士とは言えぬ

日本人が誤解していることの内の一つとして「武士道」が挙げられるのではないかと思います。

「武士道」と聞いて思い浮かべるのは、新渡戸稲造が著した「武士道」や山本常朝の「葉隠」でしょうか。
前者は、あくまでも海外に日本を紹介するものであり、実際の武士が規範にしていたものを編纂したものでもなんでもありません。
後者も序文の「武士道と云ふは死ぬ事と見付けたり」が独り歩きしていますが、ちゃんと読んだことがある人はほとんどいないでしょう(私は途中まで読んだのですが、面白くなくて投げました)。
実際の武士も「武士道」という言葉を使用して、あれこれ解いてはいますが、統一された定義などもありませんし、何をもって「武士道」なのかも全然異なります。

戦国時代から江戸時代初期にかけての武将で藤堂高虎という人がいました。
七回も主君を変えたことが有名ですが、七回も主君を変えるなどということは、一般的にイメージされている(誤解されている)「武士道」の定義には当てはまらないのではないかと思います。

さて、業種や職種によっては人材の流動性が高いものもあるでしょう。
そういった業種の企業、あるいは職種の従業員に対して定着のための施策を取られているでしょうか?
あるいは、中小企業は属人的な能力に頼っている部分も多いため、誰かが辞めてしまうと、それだけで受託できなくなる仕事がある、などといったこともありえます。
辞めることを属人的なスキルを組織のスキルとしてしまうといった、対策を考えていますか?

転職の理由は様々で、会社に原因があるとも限りませんので、100%防ぐことはできません。
だからといって何もしなければ従業員は定着しません。
それでも新しい従業員をどんどん雇えるというならいざ知らず、人手不足のご時世ですから、辞めたら次の人をという訳にはいきません。

転職する従業員も、同業種に転職する可能性も十分考えられます。
自社のノウハウを持った従業員が他社に行ってしまうとなる訳ですが、その企業にとっては新たなノウハウを得るというメリットがあります。
その結果、相対的に競合との差がついてしまうことになります。

先ほど挙げた藤堂高虎は七回も主君を変えたといっても、主君を裏切ったり、寝返ったりしたことはありません。
そうでなくとも、機会があれば七回も主君を変える訳です。
従業員だって何が原因でいつ退職するかは分かりません。

従業員は就職したらずっと辞めないという意識でいませんか?
ちゃんと対策を取られているでしょうか?

舵を切る方向

舵を切る方向

W・チャン・キム、レネ・モボルニュによるブルー・オーシャン戦略のことをご存知の方も多いでしょう。
現状の製品・サービスに要素を追加する、ある要素を拡大する、要素をなくす、ある要素を減らして競争相手のいない市場を作り出すという戦略です。
ブルー・オーシャン、レッド・オーシャンという言葉だけが独り歩きしていて、ブルー・オーシャン戦略というものが誤解されている感じもありますが、詳細は書籍を参照していただければと思います。

さて、競合が多くて競争が大変な市場と、競合が少ないことに伴って競争が少ない市場、どちらが良いかと聞かれたら後者が良いと答える方が多いのではないでしょうか。

では、自社のドメインは競合の数を鑑みて設定されているでしょうか?
単に今儲かりそうだから、これから伸びそうだからだけで決めていないでしょうか?

ハーバード・ビジネススクールのヤンミ・ムン教授は著書の中で以下のように述べています。

10年前、ボルボは実用性と安全性で知られており、アウディはスタイリッシュさで知られていた。最近では、アウディは安全性テストでボルボをしのぎ、ボルボの広告はスマートな走りを演出している。
このダイナミクスは、人気投票と似ている。誰もが爽やかで朗らかで親しみやすい人間だとアピールして勝とうとする。選挙もまた、候補者がみな、魅力的で謙虚で真面目でタフであろうとする。全員が同じ方向を目指せば、誰も抜きんでることはない。

同じ市場の中で同じ方向に向かって競争をすると、顧客から見て差がなくなってしまい、選択する基準が価格になってしまう。
その結果、収益性は下がってしまうものの、価格競争を止めることができない。
いかがでしょうか、こういった業界も多いのではないでしょうか。

仮に勝ち抜いたとしても、その市場がその後も魅力のある市場であるという保証もありません。
一部の士業も差別化ができないために価格競争になっていますが、さらにAIに仕事を奪われるという面白くない未来が待っています。
一時的な儲けを目指すことを、一概に悪いこととは言えません。
しかし、競合が少ない市場を作り出せないと、結局生き残っていけません。
どちらに向かって舵を切るのかを決めることが経営者の仕事ですが、舵を切る基準はしっかりと持っておかなければいかないでしょう。

 

栓抜き

栓抜き

王冠と呼ばれる瓶のふたを開ける栓抜きは、柄が力点、王冠の中ほどを支点、栓抜きの穴の内側に引っ掛かっている王冠のギザギザ部分が作用点として、てこの原理を使って王冠を外します。
そのため、外す過程で王冠が曲がってしまうこともよくあります。
仮に、ふたを曲げずに綺麗に瓶のふたを外す栓抜きが考案されたらいかがでしょうか、果たして売れるでしょうか?

おそらく売れないでしょう、王冠を綺麗に開けたいという需要は、あまりないと思われるからです。
王冠を集めている人もいるかもしれませんが、ふたを曲げずに綺麗にふたを外す栓抜きの需要がどの程度のものなのかは未知数です。

さて、製品だけを見て良いか悪いかという判断はできません。
先ほど挙げたように、製品としての機能・性能は高くても、需要がなければそれは商品にはならないからです。

必ずしもマーケットインの手法による製品開発が正しいとは言えませんが、市場を無視した製品を作ってもしょうがないのも事実でしょう。
また、企業の方向性やブランドイメージを鑑みないで、製品だけを作ってもみても経営全体を俯瞰すると意味がなかったり、経営効率を損ねたりするってことも十分に考えられます。

行先が決まっていなければ、どのような交通手段を活用するべきか決まりません。
その状態で、駅までの近道を論じても仕方がありません。

目新しい方法が出てくると、もてはやされるのは今に始まったことではないでしょうが、手法やメソッドはあくまでもゴールに到達するための手段でしかありません。
まずはゴールを設定、そこから逆算して、どのような手法を用いるとゴールに到達するかという考える、それを忘れて手法に走っては意味がないと思いますが、いかがでしょうか。

出欠の基準

出欠の基準

事業というのは一人では成立しません。
少なくとも自身と顧客が必要です。
顧客との関係性が太ければ太いほど受注の確立や単価が高まるというのが一般的ではないかと思います。
同時に、将来の顧客候補という新たなつながりも作る必要があります。

広告や宣伝では認知してもらったり興味を持ってもらうことは可能ですが、仕事を頼むことができるだけの信頼できる人間であるかということまではなかなか伝わらないのではないでしょうか。
そうなると直接的なコミュニケーションが必要になります。

商工会や商工会議所の集まり、異業種交流会、中小企業家同友会などの各種団体、ロータリークラブなど、気軽に参加できるものから参加や加入にそれなりの決意が必要なものなど様々です。
仕事に繋がる場所には顔を出すけど、そうでないところには行かない、基本的にはそういった基準で選択することになると思います。

しかし、自分が所属する団体・協会の会合やイベントへの出欠を、同じ基準で決めてしまうのはいささか注意が必要にも思えます。
仕事を得られる可能性があるから行く、仕事を得られる可能性は著しく低いから行かない、きつい言い方をすると、他者を金づるとしか見ていないと言い換えることができます。
ましてや同業者ですから、自己の利益ばかり考えた行動か、そうでないかはよくわかるし、伝わっているはずです。
そうなると同業者からは良い評価はされなくなってしまいます。
そういった人は周囲にいませんか?いたとしたら、貴方の目にはどう映ってますか?

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