ピグマリオン

ピグマリオン

ギリシア神話にこのような話があります。

現実の女性に失望していた彫刻家のピグマリオンは、大理石で自ら理想の女性であるガラテアを彫りました。
そのうちピグマリオンは自ら彫ったガラテアに対して恋愛感情を抱くようになりました。
さらに、食事を用意したり話しかけたりするようになり、それが人間になることを願うようになりました。
愛と美と性を司る女神のアフロディーテがその願いを聞き入れ、彫像に生命を与えました。
そして、ピグマリオンは人間になったガラテアを妻に迎えましたとさ、めでたしめでたし。

さて、アメリカの教育心理学者であるロバート・ローゼンタールがこのピグマリオンの名の付いたピグマリオン効果を提唱しました。
実験によると、教師が期待をかけた生徒とそうでない生徒では、成績の伸びに明らかな違いが見られたというものです。
このことから、他者から褒められたり期待されると、その期待に沿うようにモチベーションが高まり、成果を上げやすくなったり、その後の成長に繋がる要因のひとつになるというものです。

また、同じアメリカの心理学者であるキャロル・ドウェックは褒めることに関して以下のような実験を行いました。
小学生400人を対象に易しいパズルを解かせた
400人の小学生をAとBのグループに分け、Aグループに対しては才能を褒め、Bグループに対しては努力を誉めた
新しいパズルに挑戦するにあたって、簡単なパズルと難しいパズルのどちらが良いかたずねた。

この結果、才能を褒めたAグループの大半が簡単なパズル、努力を褒めたBグループは大半が難しいパズルを選んだということです。

能力を褒められた場合、結果を出しやすい簡単なパズルを選んで難しいパズルを避ける傾向が強いのは、「能力がある」という認識が「結果をださないといけない=その難易度は低い方が結果を出しやすい」という心理が働いた結果だと思われます。
それに対して努力を褒めた場合、困難にチャレンジする価値を見い出したと考えられないでしょうか。

褒め方(評価)にはその対象によって4つに分類されます。
相対評価…他者との比較による評価
結果評価…結果に対する評価
絶対評価…本人の努力自体に対する評価
プロセス評価…努力の過程に対する評価

Aグループは結果評価、Bグループは絶対評価ということになりますが、能力や才能を褒めるよりも努力そのものやその過程を褒められた方が、より高いモチベーションでより高く困難な目標を達成できるということです。

つまり、従業員に対する評価を上記の4つの中でいうところの、絶対評価・プロセス評価を中心にした方が、モチベーションが高まり、より高い目標をクリアしやすくなるといえないでしょうか。

ただ、なぜこれが”ピグマリオン”効果なのかはよく分かりません。

古典に学ぶ(デカルト)

古典に学ぶ(デカルト)

「我思う、ゆえに我あり」で有名なフランスの哲学者、数学者のデカルトは多くの名言を残しています。
ビジネスにも大いに役立つと思われる言葉を残していますので、いくつかご紹介したいと思います。

不決断こそ最大の害悪である。

ビジネスにおいても、普段の生活においても、大なり小なり決断の連続です。
問題があっても放置していたら勝手に解決していたこともあるかもしれません。
ですが、大抵は何らかの決断をしないと前に進めませんし、解決もできません。
決断しないことで得られることは、決断することで失うことよりも少ないのではないでしょうか。
決断して得られることより少ないのは言わずもがなです。

難問は、それを解くのに適切かつ必要なところまで分割せよ。

問題を解決できないタイプの人は、いきなり答えを導出しようとしていないでしょうか?
デカルトの言葉通りエレメントに分解し、どこに原因があるのか、どこを変更することで問題が解決するのかを考える必要があると思います。

秀でたる知性を有するだけでは十分ではない。
大切なのは、それをうまく活用することである。

言葉通りに受け取れば、知識があってもそれを行動に活用できないと意味がないという風になるのでしょう、組織の話としても受け取れると思います。
優秀な人材がいたとしても、その人材が活躍できる場をつくらないと意味がありません。
そのためには活躍できる環境づくりと必要な権限移譲は当然として、一番のボトルネックになりかねない直接管理する人間の選択も重要な要素になりうるのではないでしょうか。

アメとムチ

アメとムチ

マウスを使った実験でこういうものがあるそうです。
T字路のTの下の部分にマウスを置いて、突き当りを左に進ませることを覚えさせたい。
そのために次の3パターンを用意したというものです。

  1. 左にエサ、右に電気ショック
  2. 左は何もなし、右は電気ショック
  3. 左にエサ、右は何もなし。

さて、一番効果的なのはどれでしょうか?

1は左に行けばエサにありつけ、右に行けば痛い思いをするというどちらの選択肢からも学べるので一番効果が高そうですが、実際は3なんだそうです。

1と2は実験を繰り返すうち、動かなくなってしまった上に、ストレスから胃潰瘍になったということです(マウスも胃潰瘍になるんですね)。
電気ショックはアメとムチで言うとムチに当たるのでしょうが、アメにありつくよりもムチを避けるという行動に出たということでしょう。

これを会社の組織に例えると、失敗などに対するペナルティや過度な叱りつけを行うことで、結局何もしない方が自分が痛い目を見ずにすむと、動かない従業員に育ってしまいかねないと考えられないでしょうか。
もちろん、叱るべき時に叱ることは必要でしょうが、動く動機にはならないと言えるでしょう。
止めさせるには叱る、動かしたいなら褒める、マウスと人間は違うかもしれませんが、マウスの実験からはそう感じました。

古典に学ぶ(吉田松陰)

古典に学ぶ(吉田松陰)

高杉晋作、伊藤博文、山縣有朋など、多くの明治の元勲を輩出した松下村塾を開いた吉田松陰は多くの名言を残しています。
ビジネスにも大いに役立つと思いますので、いくつかご紹介したいと思います。

夢なき者に理想なし、理想なき者に計画なし、計画なき者に実行なし、実行なき者に成功なし。
故に、夢なき者に成功なし。

私個人はこれを理想論や精神論だとは受け取っていません。
例えば、提供する商品・サービスによっては、起業した時の自社(商品・サービス)の市場ニーズはゼロ、あるいはそれに近い状態というのもありえます。
市場に対して自社(商品・サービス)のニーズを作っていかなくてはいけない訳ですが、事業が軌道に乗るまでの大変な時期を過ごすにあたって、夢や理想がなく、単に儲かるから始めたというような企業の仕方や事業の選び方で、果たして乗り越えられるでしょうか。
また、儲かるから始めたというような企業の仕方や事業の選び方で、同業他社より顧客満足度を上げて、競争を勝ち抜けるでしょうか?

一日一字を記さば一年にして三百六十字を得、
一夜一時を怠らば、百歳の間三万六千時を失う。

時間の大切さと、物事をコツコツ続ける大切さを唱えている訳ですが、実際の業務において、無駄になっている時間を1年単位で計算されたことはおありでしょうか?

年間240日働くとして、10分無駄な作業があるとします。
年間2400分の無駄、つまり40時間、1日8時間勤務に換算したら5日分の無駄が発生していることになります。
同条件で従業員が10人だったとしたら、1年間で400時間、50日分ですから、もはや学生の夏休み並みですね。

過ちがないことではなく、
過ちを改めることを重んじよ。

体制、商品・サービス、その提供の仕方等々、現状を維持しつづけても会社の維持・発展は難しいでしょう。
会社の維持・発展のためには新しい挑戦を行わないといけない訳ですが、そうなると当然失敗や選択ミスだって起こり得ます。

こういったことをゼロにするのは簡単ですね、今までとは違うことをしなければ良いのです。
ですが、それでは会社の維持・発展はできません。

新しいことへの挑戦による失敗やミスをなくすことではなく、起こった失敗やミスから失敗が起こらないように、ミスをなくすようにすることが大切でしょう。

古典に学ぶ(荀子)

古典に学ぶ(貝原益軒)

人間の性が悪、すなわち利己的存在であるため、後天的な努力によって善へと向かうべきだという性悪説で知られる荀子ですが、ビジネスにも大いに役立つと思われる言葉を残していますので、いくつかご紹介したいと思います。

遇と不遇は時なり

孔子が言ったとされる言葉です。
人生トントン拍子に行くときもあれば、何をやっても上手くいかないときもある。
上手くいかないときに卑屈になってはいけない、努力しながら時勢が来るのを待てという話です。

経営においても、困難にぶつかる時もあるでしょう。
それが外部環境の変化によるものであれば、自分の力ではどうすることもできないかもしれません。
そこでただグチばかり言っても仕方がありませんので、前に進めるように、または良い波が来た時にうまく乗れるように準備をしながら待つ姿勢も必要だと言えるのではないでしょうか。

蓬も麻中に生ずれば、扶けずして直し

もぐさの原料にしたり、よもぎ餅の材料に使用する蓬(ヨモギ)は、そこら辺の空き地などにも生えているので、ご覧になられたことのある方もいらっしゃると思います。
非常に背の低い草ですが、そんな蓬でも成長の早い麻の中に生えれば、影響を受けてまっすぐ高く育つとのことです。

人間も同じで、周辺環境や良い交友関係に恵まれれば…なんて教訓めいた話になりがちですが、これは何も個人だけの話ではないと思います。
例えば、企業も周辺環境次第で、あるいは取引している相手次第で、企業全体も良い影響を受けることも考えられるのではないでしょうか。

驥は一日にして千里なるも、駑馬も十駕すれば則ちまたこれに及ぶ

名馬(驥)は1日に千里を走ることができるが、駄馬(駑馬)も10日かければ千里を走ることができる。
つまり日々の努力とその継続が大切だということですが、上記したように不遇な時でも腐らず、付き合う相手を選び、目標を定めて少しづつでも前進し続ければ千里の道のりも10日かかるところが9日、8日…あるいはもっと早く到達できるようになれるのではないかと思います。
逆に言えば、毎日の経営。毎日の業務がルーチンワークになってしまい、日々前に進む意識を失い、努力を怠れば、目標にはなかなかたどり着かないとも言えるのではないでしょうか。

スキームを変える

スキームを変える

以下は読売新聞の記事です。

アパレル業界の不合理な商慣習、改善を…経産省

このように、商習慣として、あるいは業界の構造的に自社に不利になったり、利益が出にくかったりする例は枚挙に暇がないでしょう。

一つの例として面白い企業ご紹介します。

貿易(輸出)をやっている一人会社で海外企業からこんな商品が欲しいと注文を受けたら、探して輸出するというビジネスモデルなのですが、全て現金取引でかつ全て前金というものです。
最も、貿易会社は中国の企業相手だと前金を貰うのが珍しくないそうですが、この企業が自分の支払も全て前金で現金払いにしているそうです。

それによって、貸し倒れや踏み倒しのリスクがないばかりか、キャッシュフローが非常に良いので、資金繰りについて悩んだことがないそうです。
また、購入先にも現金で支払うために、相手企業もキャッシュフローが改善します。

さて、自社の所属する業界の商習慣を自社の一社だけで変えるのは難しいと思いますが、自社のやり方を変えて有利なように、あるいは利益が増えるようにできないでしょうか?
当たり前のことを当たり前にやっていて、現状が良くなることはありません。
人のお金や物を盗んではいけませんが、他業界のやり方はどんどん参考にして取り入れていって、自社が有利になるようにスキームを変えていきませんか。

適応力

適応力

偉人の言葉で誤解されているものもいくつかあります。

この世に生き残る生き物は、最も力の強いものか。そうではない。 最も頭のいいものか。そうでもない。それは、変化に対応できる生き物だ。

ダーウィンが言ったとされていますが、実際にはこのようなことは言ってないそうです。
それはそれとして、生物は環境の変化に対応をしなくてはいけないということは間違いはないでしょう。

環境の変化も大きなものから、小さなものまでありますが、小さなものでは季節に合わせた気温の変化があります。
日本では季節によって気温が変わるために、服装もそれに合わせて薄着になったり、厚着になります。
季節外れの恰好をしていたら、おかしいのは改めて指摘することではありません。

さて、生物だけでなく、企業も環境の変化に対応しなくては生きていけないでしょう。
為替相場や、人口動態、業界動向、近隣地域への競合の参入など、大きなものから小さなものまで常に外部の環境は変わります。

にもかかわらず、環境が変わってしまって事業のやり方が時代に合わなくなっているために売上が下がっているのに、いつまでも変わらない。
消費者のライフスタイルが変わってきているのに、売っているものも売り方も変えない。
法律の変更による規制緩和で、競合の参入が予想されるにも関わらず、せいぜい飲みながら愚痴を言っているだけ、こういったことはよくあります。

論語にも

子曰く、「君子は諸を己に求め、小人は諸を人に求む」

というのがあります。
「君子は何事でも(失敗の)原因を自分に求めて反省を加えるが、小人は何でも人のせいにする。」という意味です。
愚痴を言いたい気持ちは分からなくはないですが、外部環境が変わるのならそれに適応するか、退場するかしかありません。

変わるにはエネルギーが必要です。
ですが、環境の変化に対応できるように変わることができるとしたら、それは新たなステップに進んだという証で、新たな環境でさらなる飛躍をするための準備ができたとも言えるのではないでしょうか。

古典に学ぶ(貝原益軒)

古典に学ぶ(貝原益軒)

貝原益軒は江戸時代の本草学者、儒学者で、非常に含蓄のある言葉を残しています。
ビジネスにも大いに役立つと思いますので、いくつかご紹介したいと思います。

知っていてもそれを行動に移さないのであれば、知らない者となんらかわりは無い。

知識を増やすという行為は、前に進んでいる気がします。
「知識」と書きましたが、この場合は英語でいうところのinformationであって、intelligenceとは異なります。
つまり、ただ知っているだけで経験としてはゼロという状態です。

そこに行動することにより経験し、フィードバックすることでinformation同士が有機的に繋がってintelligenceになるというイメージでしょうか。

志を立てることは大にして高くすべし。
小にして低ければ小成に安んじて成就しがたし。
天下第一等の人とならんと平生志すべし。

競合他社との競争は避けるのが原則です。
ですが、競争が避けられない場合は、より強い方が勝ち残りやすくなるのは事実でしょう。

自社の前には誰もおらず、自社の後ろにも誰もいない状態が理想だと考えています。
それも天下第一等と考えられないでしょうか。

喜びの時も怒りも時も何も行動をしてはいけない。
喜びもやみ、怒りもやみ、平常心を取り戻した後に事を行なうようにしなさい。

感情としてプラスの時もマイナスの時も、平常ではないのだから判断を誤るということでしょうか?
確かに、普段通りにしたいのであれば、精神状態が良い状態のときも普段通りのことが出来な可能性がありますね。

長く残っている言葉は、長く残っているだけの理由があると思います。
温故知新ということで貝原益軒の言葉から経営を考えてみました。

事象

事象

コップの中に水が半分入っています。
これを「半分しかない」と捉えるか、「まだ半分ある」と捉えるかで、その人の志向の傾向を見るというものがありますが、「コップの中に半分水が入っている」という事象にスポットを当てて考えてみてください。

経営において重要なことは、「コップの中に半分水が入っている」という事象から何を考えるかではないでしょうか。
例えば

  • なぜコップの中の水は半分なのか?
  • 元々はどの程度入っていたのか?
  • フルに入れたかったが、充分な水がなかったのか?
  • そもそも半分で十分なのか?
  • フルに入っていたが、半分に減ったのか?
  • 減ったのだとしたら、何に使ったのか?
  • 半分の状態にしておくとこで、どういった影響を受けるのか?

…等々、色々ありますが、一つの事象からある程度の因果をたどってみることは可能だと思います。

法律が変わる、それはなぜか?どういった影響を受けると考えられるか?
自社の所属する業界が自由化する、それはなぜか?どういった影響を受けると考えられるか?
新しい制度ができる、それはなぜか?どういった影響を受けると考えられるか?

外部の状況が変わるという事象を変えることはできないので、経営者としてはそれに対応しなくてはいけません。
だとすれば、その事象が起こった(起こる)理由と、その結果を考えることで早めの対応を行いようにすれば、機会を掴みやすくなり、ピンチをしのぎやすくなると思いますが、いかがでしょうか?

1-0≠2-1

1-0≠2-1

1-0と2-1はどちらも答えは1です。
数字の上では同じですが、経験の量を定量化したものだとしたら、それが0から1になるのと、1から2になるのとでは同じではないのは同意いただけると思います。

「起業したいが、まだその準備が整っていない」
どうなれば100%準備が整った状態なのでしょうか?何をもって100%なのかを設定しているのでしょうか?

チャンスの方からやってきてくれる幸運な方もいらっしゃるでしょうが、大抵のケースにおいてはチャンスは自分から掴みに行くものでしょう。
また、実際にやってみないと何がどれだけ必要で、不要なのか分からない以上、前もって準備して100%の状態でスタートするなんてことはできません。

アドラー心理学風に言うと、「起業したいとは言っているけれど、本当は起業するのが怖い。だから、しない理由が必要なので、そもそも準備をしないことを選択した」のかもしれません。

「いつかは企業したい」
いつかっていつでしょうか?チャンスがいずれ来るのでしょうか?今までチャンスが来たことがなかったのに?待っていたら、いつかチャンスは来るのでしょうか?

動いてみて初めて分かることもあるでしょう、動いてみて初めて理解できることもあるでしょう。
もちろん、失敗してもリカバリーができる範囲でという条件が付くかもしれませんが、とにかく行動することが必要なのではないかと思います。

 

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